すみっこCE

医療界で、すみっこで細々と活躍する「臨床工学技士」。職務を全うする中で得た知識をアウトプットするためのブログ。

安定は存在しない

「医療職なら『安定』してますね。」

「『安定』していて、良いお仕事ですね。」

 

男性参加料3000円を目の当たりにし、飛びついて参加した街コンでの会話である。

「イケメン」や「優しさ」よりも「安定」が重要視される昨今で、「安定」を武器にし、連絡先が記されたカードを5枚手に入れることができた。

 

「安定」

 他人から「安定」という言葉を聞くと、私は胸をはり、少しばかりドヤ顔をする。しかしこれも私が無知であるがために、こういった態度になる。

 

臨床工学技士になって今年で5年目を迎える。

 

日々与えられる仕事を淡々とこなし、定時になると帰宅する。

そんな毎日を過ごし、「この仕事は無くならない」と思っていたが、4年も勤務していると多少、医療業界での「臨床工学技士」の立場が見えてくる。

 

透析分野で「臨床工学技士」が”お金”を生み出すことは困難で、

せいぜい「透析液確保水質加算1(8点)、透析液水質確保加算2(20点)」程度である。

条件としては「透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者に医師または専任の臨床工学技士1名以上配置すること」が条件である。

つまり病院としては、「臨床工学技士」が最低1名存在すれば、充分であるということである。

よって病院側からすると、コストのかかる「臨床工学技士」を雇うより、処置などで診療報酬を取れる「看護師」を雇うほうが良いのである。

 

そこで最近、日本臨床工学技士会では”患者の命である”バスキュラーアクセスの管理の一環であるエコー業務を臨床工学技士が行おうという流れのもと、Eラーニングを導入し、臨床工学技士によるエコーでのバスキュラーアクセス管理を積極的に広めようとしている。

 

しかし臨床工学技士によるエコーを用いた「バスキュラーアクセスの管理」での診療報酬の請求は”グレーゾーン”である。 

実際に請求している施設もあるようだが、今後、みんながみんな診療報酬を請求するようになると必ずそこに”制限がかけられる”であろう。

 

また本来、エコーは「臨床検査技師」の分野であり、そこへ我々「臨床工学技士」が業務拡大してくると、臨床検査技師会も黙ってはいないだろう。

 

このように「臨床工学技士」も安定のようで、不安定である。

しかし、これは”どの業界・どの仕事”でも同じで、「安定」など何を定義で言っているのか人それぞれ違うもである。

 

ことわざで「隣の芝生は青い」あるが、人の「安定」を羨む人をこれと同じではないだろうか。